いくらこすり合わせても、冷え切った手はなかなか温まらない。
息を吹きかけると、一瞬だけ温もりが戻るが、すぐに冷えてしまう。
「こんなに冷えて」
大きな手がその手を包み込む。
安土山天主跡。
廃城となり、ここはただの山と化した。
誰が言い出したのか、この山に入ると出てこられない、祟りがあるともっぱらの噂だ。
もちろん、それはただの噂。
「ここには誰も来ない」
「そうだな」
佇んでいるのは、綾女と左近。
瀕死の重傷を負った左近は、綾女の懸命の看護で命をつなぎとめた。
同時に綾女の心は次第にほぐれ、左近を見つめられるようになっていった。
いつしかふたりの距離は縮まり、今も手を握り合っている。
左近がそっと綾女の背に手を回す。綾女は素直に身を預ける。
ふたりだけの温もり。
このままずっと…。
やがてその人影は山を下りて行った。
あとに残るのは静寂のみ。
安土山はその歴史を、黙して、語らず。
(2011.2.2投稿)
本日、「炎情」を閉鎖しました。
2007年12月に、およそ20年ぶりに思い出した妖刀伝。あまりにもさびしいラストに、綾女と左近の二人を何としても幸せにしたいという一心で、二次小説を書き始めたのが、サイトを立ち上げるきっかけでした。
それから3年。
たくさんの方に支えられ、温かい言葉も頂き、どれだけ励みになったことでしょう。
話を書くことで少しずつ思いが紡ぎだされ、ひとつの区切りがつきました。
リンクをしてくださった皆様、オフ会に参加してくださった方々、何よりもこのサイトを見に来てくださった大勢の方に、深くお礼を申し上げます。
小説については残してほしいとご要望が多かったため、跡地として整理しました。ご要望がいただけるだけでも感謝しております。
閉鎖とはいえ、綾女と左近は私の心の中で生きています。いつかまた皆様にお会いできることを願いつつ、挨拶に代えさせていただきます。
ありがとうございました。
跡地の開設ありがとうございました。
お忙しい中、このような場を設けて頂いたことに心から感謝致します。
これからも紅梅様の作品が読めると思うと本当に嬉しいです。
妖刀伝と、紅梅様のこれまでの活動すべてに敬意を表します。
本当にありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。
ちい様、ご訪問ありがとうございました。
私も時々読んでは、思いに浸っております。
またお立ち寄りくださいね。