綾女と左近の関係は、唇から始まった。
朝はキスで始まり、夜はキスで終わる。
「ねえ綾女さん、これを使ってみない?」
朝晩冷え込みが強くなってきたころ、綾女が佳代のお店に行くと1本のスティックを見せられた。
「なあに?」
「これ、リップクリームというか、グロスというか、んふふ、いい具合なのよ」
少し含んだ笑みを浮かべている佳代の唇は、濡れたように艶めいている。
「私はお店をしているから香りがするものは付けられないけれど、一度付けたらもう手放せないの」
「いいわね、唇が荒れちゃうから困っていたところなの」
綾女がスティックを手に取るとかすかに甘い香りがした。
「匂いはするけれど、口に入っても大丈夫なのよ。それにこれだけ潤いがあるから、唇のケアにいいし」
「ありがとう。使ってみるわね」
帰宅し、お風呂に入って綾女は佳代からもらったスティックを取り出した。キャップを外すと甘いベリー系の香りが漂う。
唇につけると少しべたつくが、少したつと唇になじんできた。
「あら、とてもいい感じ。これって高いんじゃない?」
香りに誘われるように左近が背後から近づく。
「何しているんだ。甘い匂いさせて」
「佳代さんにリップグロスをもらったの。ちょっと匂いが強いかなぁ」
「いや、そんなことはない…いい、色だな…」
いきなり左近が唇を奪う。綾女の艶めく唇に誘い込まれるように。
香りとともにいつもより激しめの夜を過ごした。
翌日。
綾女はスカーフを巻いて佳代の店に行った。
「ね、よかったでしょ」
スカーフから見える愛の証を見て佳代はからかった。
「うん…」
綾女は真っ赤になって頷いた。
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