綾女は左近の手が好き。ひとまわり大きく、綾女の手をすっぽり包み込む。少し乾いた暖かい手。その手に引きこまれると、左近の体が綾女を包み込む。ホッとして安心できる場所。
温かいコーヒーを淹れ、ソファに座っていた左近の隣に座る。
「綾女、最近甘えてくるな」
左近は嬉しそうに綾女を抱き寄せる。今までは逃げていたからだ。
「そう?」
暑い時期は薄着でもあり、すぐに左近の手が綾女をいたずらしていた。朝晩冷えるようになって、綾女はなんとなく温もりを求めるようになっていた。
薄手のロングニットにスパッツの綾女。抱き寄せれば体のラインがわかる。ふたりは体を寄せて、コーヒーを味わう。
「温かいものが欲しくなる季節になったわね」
「そうだな」
左近の手が綾女の髪を撫でる。綾女は幸せそうに左近にすり寄った。
- 現代版
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