初めて私が左近に会ったのは、夏が盛りの永伏山だった。
山賊の中の頭として、まるで山賊然としない風体だった。
口には葉っぱをくわえ、着流し、長髪。
「キザだなぁ」
思わず呟いてしまった。
その後に妖魔が出てきたので停戦し、一緒にやっつけた。
途中、私は胸元を切られちゃったけどね。
あ、しまった、あの時押さえちゃったから左近に女だとばれたんじゃない?
でもね。とっさに出た仕草だもんね。たしなみってものよ。
あれから何年たったかなぁ。
キザなところは少しも変わらない男がそこで葉っぱをくわえて寝転んでいる。あの時よりも男っぽくなって、もうフェロモン全開状態。
「何だ、見とれていたのか」
薄く目を開けて意地悪そうに笑う。
「昔を思い出していただけだ」
私は目を合わせないようにして答えた。
- おまけ
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