左近の近くまで来て、ネコは歩みを止めた。
「変なネコだな、お前。俺に用なのか?」
ネコは座り、まっすぐ左近を見上げる。その瞳は誰かを思わせた。艶やかな黒い毛は、誰かの髪に似ている。そしてしなやかな動きも・・・。
「まさかな」
一瞬浮かんだ疑念を左近は無理に追いやった。
「お前、飼い主はいないのか。こんなにきれいなのにな」
「ミ・・・」
左近がそっとネコを抱き上げた。藪で引っ掛けたのか、少し傷がついているところがあった。
「うちに来い」
傷に手当てを施され、体もきれいに拭かれてネコは満足げに欠伸をした。
「ウミュ・・」
そのまま寝てしまう。
左近はそっとネコの体を撫でた。
「綾女みたいだな。お前、綾女の代わりに来たのか?ん・・、メスか」
ネコは、綾女と呼ばれるようになった。
- 時を超えた絆
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