「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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大奥2

江戸に戻ると左近は陣平に言った。
「正室を決めた。高遠藩主の娘、綾女だ」
他の老中のブーイングが高まる。
「公家の姫を正室にするしきたりですぞ」
「幕府と公家を取り持つ役目が務められるのか」
陣平は不満を押さえるのに懸命だった。
「しかしながら、上様は高遠の娘以外は娶らないと断言しておいでです。おそらくこの件が済まない限り、側室も持とうとはなされません。現在お世継ぎを作られる方が上様以外にいらっしゃいますか?」
前の将軍の在位はあまりにも長過ぎた。老齢に差しかかり、やっと授かった一粒種の左近。
半年後、左近と綾女の婚礼が行われた。
その晩、寝所に入った綾女は人が数人近くにいることに驚く。
左近は人払いをきつく申し渡していたが、大奥総取締役の姉川が断固拒否したのだった。
「姉川。人払いをせよ」
「恐れながら上様、私どもは今回のお輿入れの件に反対しておりました。それを陣平が説き伏せて曲げに曲げ、承諾したのです。これ以上は譲歩するつもりはいささかもございません」
動こうとしない姉川に左近は腹を立てる。その左近に綾女が声をかけた。
「私は構いませぬ。今回の事の次第は聞いて知っております」
「綾女」
不安げな綾女を左近は抱きしめる。半年会わずにいたが、恋慕は募るばかりだった。
「夢のようだ、あなたをこうして妻に迎えられた」
「私も・・お慕いしています」
恋人の甘い囁き。
初めて触れる唇に、左近は精いっぱいの愛情をのせた。綾女は小さく震えながらも応える。
声を抑えていた綾女だが、一瞬だけ声を上げる時があった。しばらくして左近の切なげな吐息とともに物音は静まり、やがて寝息が聞こえてきた。

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