「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. HIT記念
  2. 84 view

大奥6

それから綾女は歩きまわることはしなくなり、調子のよい日は縁側まで出て柱につかまりながら立っていたり、脇息にもたれていたりしていた。
子供たちもかわるがわる訪れては本を読んでもらったり、裁縫や絵の手ほどきを受けていた。
左近は前と変わらず毎晩綾女の寝所に訪れる。
艶っぽいことはなくなったが、1日1回は唇を重ねていた。
「左近」
「なんだ?」
「我慢しなくてもいいのよ」
「何をだ?」
綾女はとうとう切り出した。
「側室をおもちになってはどうかしら」
「何を言うんだ」
左近はそっと綾女の髪をかきあげた。しっとりとした豊かな髪は、初めて会ったときと変わらない。
「私は、左近に応えられないから…もっと丈夫な方と・・」
言いながらも綾女自身がつらくなって左近に背を向けてしまう。
「本当は、とても厭。私以外の方を左近が抱くのは厭。だけど左近は若いし、抑えられないこともあるでしょう?あれだけ私を求めていたんだもの。体、つらいでしょう?」
言葉にしなくても、綾女の思いは十分左近に伝わっていた。
「俺には綾女だけだ」
背中から抱きしめて、左近は誓った。
そして。
長男の元服を見て綾女はこの世を去った。
愛する夫と子供たちの見守る中、その生涯を終えた。
左近は綾女に誓った通り、生涯側室を持たず、また女性に触れなかった。
長男、次男は歴代将軍になり、三~六男は補佐役になった。長女から四女はそれぞれ有力者の元に嫁ぎ、それぞれ子を成している。五女は生涯独身を貫き、大好きだった母の菩提を弔った。

HIT記念の最近記事

  1. 大奥6

  2. 大奥5

  3. 大奥4

  4. 大奥3

  5. 大奥2

関連記事

コメント

    • ちい
    • 2010年 9月 21日 12:49am

    はじめまして。だいぶ前からこちらのサイトにはお邪魔していたのですが、コメントさせていただく勇気がなくずっと閲覧専門でおりました。
    でも、ここしばらく更新されておられなかった事が心配になっていたので(若干ストーカー気味で申し訳ございません!)、更新再開されて、そして久々のお話もまたとても素敵だったのでめちゃくちゃ嬉しくて、ついに勇気を振り絞ってコメント送らせて頂く次第です。
    私は妖刀伝本編に人生転換するくらいの衝撃を受け、その後長いブランクはありましたが、数年前に「やっぱり妖刀伝だよね!」と愛が熱く再燃してしまった者です。笑
    妖刀伝本編から20年以上経った今でもこんなにたくさんのお話を更新して下さる紅梅様は本当にすごいです!
    これは単なる妖刀伝への愛だけではなく、お話を書く力も併せ持っていないとできないことなので、本当に尊敬しております。
    こちらの左近と綾女にいつも癒され、ドキドキして、そして涙しております。
    これからも密かに応援させて下さい。
    長文失礼致しました。

      • 紅梅
      • 2010年 9月 21日 10:43pm

      ちい様、はじめまして。
      あたたかいコメントをありがとうございます。
      私もつい2年半ほど前に妖刀伝を思い出し、再燃しました。
      書いていると少しだけ左近と綾女が幸せになれるかなと、思っています。だから今でも書き続けられるのかもしれません。
      読んでくださる方がいるだけで、充分嬉しいです。
      またいらしてくださいね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


カテゴリー
アーカイブ