奥泊まりは禁忌事項がない限り毎晩行われた。
仕切りの外で一切を耳にするお役目のお清の方は、毎日上司に報告する。
そして決まって言うのだった。
「私はもうそのお役目はご免こうむりたく…」
日が経つにつれ、ふたりの愛の営みは艶やかで色っぽく、愛情が満ち満ちていく。
綾女は声を抑えようとするが、わざと声を出させるように左近があれこれと刺激を与える。
お清の方には刺激が強すぎるのだ。
姉川も報告を受けていた。婚礼を挙げてから左近は男らしさに磨きがかかり、政務も精力的にこなしている。綾女も女らしさが増し、光り輝いている。
「この分ならご懐妊も近いですな」
老中たちがこぞって噂をしはじめていた。
物忌明けの左近は激しい。
会えなかった分を埋めるように綾女を求める。
やっとひと息ついたのは、夜明け間近だった。
くったりと横たわる綾女の体を指で伝う左近。左近を知って、その肌はより滑らかに潤っている。何度となく注ぎ込んだものが溢れてくるのを、左近は綾女の腰を上げて出てこないようにした。
根拠も何もなく、ただ思いつきでしたこと。
やがて綾女は懐妊した。
代々公家の姫を正室にしており、その橋渡しをしていた老中は、こっそり自分の娘を台所に入れた。
綾女のお膳に毒を混ぜるためである。
だが綾女の舌は敏感であった。ことごとくお膳を下げさせてしまう。
やがて月満ちて、綾女は女児を産んだ。
- HIT記念
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