「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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大奥4

それから10年。
左近と綾女の間にはほぼ毎年のように子が生まれた。
10年たっても左近、綾女ともども若々しくはつらつとしている。
左近は側室を持たず綾女一筋で通している。
「左近、今度身ごもったらそれでお褥さがりをしてもいいかしら」
左近の思いのたけを受け入れた綾女は、息を整えながら言った。
「だめだ」
左近は一蹴する。
「再来年で私は30歳になるのよ。しきたりでは、30歳を過ぎたらもう…」
左近は唇で言葉を閉じ込めた。
「しきたりしきたりと言うな。俺が愛しているのは綾女だけだ。いつまでもともにいたい」
汗ばんだ肌を左近は舐めあげる。そのくすぐったさに綾女は身もだえし、また左近に愛されていった。
ひと月後、10回目の懐妊。
「いつも大きなお腹で歩いている気がするわ」
綾女はお腹を撫でながら呟いた。
いつもよりつわりがきつく、お腹の張りも大きい。少し動くだけで疲れてしまう。
お腹が大きくなるにつれ、動悸もするようになっている。
「これはふたりお腹にいるようですな」
まだ7ヶ月だと言うのに、臨月のように腹は膨れ上がっていた。
やがて臨月。綾女は自分で体を起こすこともできないほどのお腹になり、産所にやっと入った。
お腹が伸びきっているため陣痛が弱い。綾女は懸命に念じながら力を加減していた。
「大丈夫、大丈夫よ。母があなたたちをちゃんと産んであげるわ」
やっとひとり目を出産。だが泣き声は聞こえなかった。産婆が逆さに持ち、お尻を叩くと元気な産声を上げる。
綾女は体力的にも限界を感じていた。心臓が痛いほど動悸が激しい。だが産まないわけにはいかない。
ひとり目の泣き声につられたかのように陣痛が襲い、間もなくふたり目を出産。その子もお尻を叩かれて元気な声を上げた。
「若君おふたりでございますよ」
産婆の声が遠くに聞こえる。
綾女の手が綱から離れ、ゆっくりと崩れ落ちた。

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