バレンタイン前日。
綾女はキッチンでチョコだらけになっていた。
「できたー」
渾身の一品。あげるのはもちろん・・
バレンタイン当日。
綾女は左近の部屋の前に立っていた。
「コンコン」
ドアをノックするが返事がない。
「あれぇ、出かけているのかな」
待つこと5分。下ろした髪が寒風に晒され、綾女は身を震わせた。
「寒・・。出直そうかな」
もう一度ノックする。とたんにドアが開き、左近が姿を見せた。
「なんだ、綾女か」
「さっきノックしたよ?」
「悪い悪い、風呂入ってた」
この寒いのに左近はジーンズとシャツだけ。シャツも羽織ったままで胸元が見える。髪は少しぬれていた。その色っぽさに綾女はどきどきしてしまう。
「入れよ」
左近が綾女を招き入れる。綾女はすぐコタツに入り込んだ。
「わーい、あったかぁい。外で待っていたら冷えちゃった」
「もっとあったかいコトする?」
左近がいたずらそうな目で綾女を見、綾女は無邪気にうなづいてしまった。
「なぁに?」
コタツから離れない綾女を左近は後ろから抱きしめた。
ドキン・・。
左近の手がコートを脱がせていく。
「家の中ではコートを脱げ」
「はぁい・・・」
素直に左近に従い、綾女はコートをハンガーにかけた。
「で、今日は何をしに来たんだ?」
綾女は少し顔を赤らめながら、バッグからきれいにラッピングした包みを出した。
「これ、左近にあげたくて来たの」
「何?」
「だーかーらー、今日はバレンタインでしょ。中はチョコです。私が作ったんだから大事に食べなさいよねっ」
綾女は恥ずかしくて左近の顔を見ずに包みを突き出した。
「味見した?」
左近の言い方に綾女は怒った。
「そんな言い方をするならいい、これは私が食べる。左近なんか大嫌い!」
左近は包みを開け、中の一粒を手にした。口に入れ、少し顔をしかめた。
「え、うそ、美味しくない?」
怒っていた綾女が心配げな顔になり、左近を見つめる。左近はそんな綾女を抱き寄せ、キスをした。
「ん・・」
チョコの味がする。美味しいじゃない、私。
「美味しいよ、綾女。サンキュ」
優しげな左近の瞳。その瞳で見つめられると、綾女は甘い呪縛にかかったようになってしまう。左近の指が綾女の服を少しずつ脱がせていく。でも綾女は逆らえなかった。
「寒いよ、左近・・」
「あったかくなるよ、すぐに・・・」
シルエットがひとつに重なり、ゆっくりと倒れていった。
- 想いつれづれ
- 29 view
チョコを最初、素直に美味しいって伝えないところなんか、左近らしいですね!
拗ねたり味を心配する綾女も、乙女ですごく可愛いです☆
素適なバレンタイン、二人に有難うございます♪
確かに^^
左近は一筋縄ではいかないのです。
そうやって綾女をからかって楽しんでいるんです。
こういうラブラブさもいいですね。