「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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大江戸物語4

年が明けると綾女は17歳になった。
左近との距離が縮まるにつれ、綾女は少しずつ美しくなっていく。
動きやすい恰好になると、体のラインが強調され、左近は目の保養になる。
さらにうるるんっと見つめられると、理性が簡単に崩壊してしまう。
長屋にふたりきりになると、綾女を押し倒したくなる。
「というか、俺は綾女とずっとともにいたいわけだから、祝言を挙げるのがいいのか・・」
幸か不幸か、奉行所の仕事が忙しくなり、ゆっくりと綾女のことを考える時間はなくなっていた。
「縁談ですか?この私に?」
綾女は驚いていた。去年までまったくそのような話はなかったからだ。
「お相手はね、奉行所の龍馬さん。どうかしら。いいお話だと思うのよ」
綾女は頭をフル回転し、ひとりの名前を挙げた。
「龍馬さんには、佳代さんという心に決めた方がいらっしゃるのよ」
「あら、そうなの」
「私も…気になる方がいます」
「まぁ」
母親が色めき立った。
「どういう方なの?あなたが一緒になりたいという方は。まさか、左近さんじゃないでしょうね」
綾女は瞬時に頬が染まるのが分かった。
「まぁ・・・近すぎてわからなかったわ…。身分も職業も申し分ないけれど、あの顔立ちでしょ。夫という鞘に収まりきれるのかしら」
母親は左近の浮気を本気で心配している。
「たぶん、大丈夫よ…」
早く席をはずしたくて綾女は微笑んだ。
夕方、久しぶりに長屋でふたりきりとなった。
「最近、仕事が忙しそうね。おかげで裏の依頼もないし、少しは平和だということかしら」
「そうだな」
「今日、縁談の話があったの」
左近の胸が痛んだ。綾女もそういう年頃になり、他の男の元へ嫁いでいくのだ。
「でね、相手は…」
いつにも増してうるうるした瞳で綾女は左近を見つめた。
「・・ま・・さか…俺、か?」
「…うん、多分」
「多分?」
綾女は視線をそらせた。
「母は、左近が浮気するんじゃないかって心配しているの。それがないと言い切れるかしらって」
左近は自分の胸に聞いてみる。確かに多数の女性と関係はもった。だが心からともにいたいと願う女性は綾女だけだ。
「綾女だけだ。信じてほしい」
「そうなの?言い切れる?誓う?」
「ああ、誓うよ」
季節は巡り、春。
実家から少し離れた家に夫婦となったふたりは移り住んだ。
かつて左近が住んでいた長屋には、もう石は投げ込まれなくなったという。

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