「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. 現代版
  2. 23 view

クリスマスの夜には2

「綾女はお正月実家に帰るのか」
左近が聞いてきた。
「うん。長野にいるんだ。左近は?」
「俺は石川。いつもは帰らないけれど、今年は帰らなきゃな」
「そうなんだ。今晩泊まって、明日には帰るの?」
「帰ってほしいのか?」
からかうような左近の瞳。メガネに隠されてよく見えない。
「帰りたくないくせに」
冗談で返そうとした。
「帰る家にいつも綾女がいてくれたらいいな」
「えっ」
左近はメガネを外して綾女を見た。吸い込まれそうな瞳の色。
「初めから、そのつもりだった。今はまだ早いけれどな。時期がきたらきっと・・・」
「左近・・・」
左近は綾女の肩を抱いた。
「あさって、朝一番で帰るよ」
綾女の部屋はワンルームだった。
「上がって。あんまり作れないけれど、本を見ながらご飯作ったの。シャンパンもあるよ」
暖房をつけ、お風呂を沸かす。
「寒かったでしょ、すぐにあったかくなるよ、コートはこれにかけてね」
けして広くはないが、そうじが行き届いた気持ちがいい部屋。
「はい、これ飲んで」
綾女がテーブルにお茶を置いた。左近はハンガーにコートをかけた。
「何を作ったんだ?」
「だめ、秘密。これから出すから座っていて」
綾女は冷蔵庫を覗き、食器を揃え、てきぱきと動いていた。
フィットしたセーターにスリムジーンズ。活動的な綾女らしい格好である。
テーブルに次々と料理が並べられる。
「うまそうだな」
「見た目だけだよ、初めてこんなに作ったんだもん」
左近のグラスにシャンパンを注ぎながら綾女が言った。綾女はジュース。
「じゃ、左近。メリークリスマス」
「メリークリスマス」
カチンとグラスを合わせる。
綾女の料理は心がこもっていてどれも美味しかった。一人暮らしだが、きちんと毎食作っているんだろう。
左近は全部平らげた。
「すごい、あんなに作ったのに。苦しくないの?」
「うまかったからな。それにこれくらいの量は男なら平気だよ」
「そうなの?男の人ってすごく食べるんだね。でもそれにしては太っていないし」
「代謝というか、体質だろうな」
綾女はお皿を片付け始めた。
「いいなぁ、私はすぐに太っちゃうから羨ましいよ」
「どこが太っているんだ?」
「だから気をつけているの。運動したりストレッチしたり。あ」
綾女が振り向いた。
「お風呂入る?沸いているからお先にどうぞ」
「一緒に入るか」
左近が隣に立った。綾女はまた赤くなった。
「だ、だめよ、私はここを片付けなきゃ。タオル出すね」
慌てながら綾女はタオルを左近に渡した。
左近はそれ以上からかわず、お風呂に入った。

現代版の最近記事

  1. ぬくもりを求めて

  2. 暑い日

  3. 夏涼み

  4. 桜花

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


カテゴリー
アーカイブ