「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. 現代版
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晩夏3

家に帰ると父が帰ってきていた。
「生まれたか」
「とてもかわいい女の子。明日また行くから、お父さんもどう?」
母が夕食の支度をしながら言った。
「孫か。私はお爺さん、母さんはお婆さん、綾女は叔母さんになるんだな」
「お、おばさん・・」
父の言葉に綾女は剥いていた芋を落としそうになった。
「言わせない。お姉ちゃんて呼ばせよう」
綾女は固く誓った。
間もなく、雪乃が退院してきた。
赤ちゃんは”桔梗”と名づけられた。
「この子の顔を見たときに、そう思いついたの」
桔梗は雪乃の腕の中ですやすやと眠っていた。
「赤ちゃんて飽きないね。つい構いたくなっちゃう」
綾女はもう桔梗のそばから離れない。面倒見もいいので、雪乃も母も安心していた。
「桔梗、お姉ちゃんだよー」
刷り込みをしていたのは言うまでもない。
あっという間にひと月がたち、雪乃もだいぶ体が戻ってきた。
「すっかり綾女ちゃんに甘えちゃった。ありがとう」
「いいの、この子抱っこしていると落ち着くのよ」
ふぬ・・と桔梗がしかめ面をした。泣き出す前の顔。
「あれ、オムツは替えたし、おっぱいかな?」
「あ、そろそろね」
雪乃が桔梗を受け取ろうとしたとき、桔梗の小さな手が綾女の胸を触った。ふにゅふにゅと揉んでいる。感触が違うとわかるとまたしかめ面をした。
「あーはいはい、桔梗、おっぱいよ」
雪乃が胸を開き、恥ずかしそうに綾女に背を向けて授乳させ始めた。
綾女はパジャマの上から自分の胸を見た。桔梗が触った感触が残っている。小さな、小さな紅葉のような手。
授乳が済み、雪乃はこちらを向いた。
「もうこれで夜は起きないわ。よく寝て早く大きくなるのよ」
桔梗に話しかける雪乃は、慈母のようで美しかった。そこに進之助が入ってきた。
「桔梗は寝たのか」
「ええ、今おなかいっぱいになったところ」
夫婦でわが子を眺めている。
「私、明日早いからもう寝るね、お休み」
「おやすみなさい」
綾女が気を利かせた効なのか、翌朝雪乃はさらに美しくなっていた。

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