「寒ーい」
家の外に出た綾女は手に息を吹きかけた。
街路樹のイルミネーションを見ながら、駅に急ぐ。
夏の発掘以来の再会になる。
綾女17歳。左近に恋をしている。
時々メールや電話で話をする程度だった。
友人の佳代に言わせれば、
「それって付き合ってるっていうの?」
という展開の遅さ。
それでも綾女は幸せだった。たとえそばにいなくても幸せだった。
「クリスマスに会おうか」
左近の提案。東京と京都という遠距離だが、左近が来てくれると言う。
今晩は、綾女の部屋にお泊り。
京都駅の新幹線口に向かう。
電光掲示板が切り替わり、左近が乗っている新幹線の名前が写った。
綾女はどきんとした。
もうすぐ、左近に会える。
改札口を凝視しながら夏の出来事を思い出していた。
しばらくすると階段やエスカレーターから人がぞろぞろ降りてきた。
その中でも背が高く、ひときわ人目を引く左近がまっすぐ改札口に向かって歩いてきた。ボストンバッグを無造作に肩に担いでいるが、それも絵になる。
すぐに綾女を見つけるとそばに歩いてきた。
「久しぶり。待った?」
「ううん。それよりメガネどうしたの?」
左近はメガネをかけていた。
「ああこれ、伊達メガネ。度は入っていないけれど」
「ふふ、メガネの左近も素敵だよ」
綾女は本当に嬉しそうに話している。
「あのねぇ、私待ってもらうより待つ方が好きなんだ」
「なんで?」
「だって、すぐに見つけることができるでしょ」
左近は黙って、綾女の手を握った。綾女は耳まで赤くなって黙ってしまった。
・・どうしよう、こんなにどきどきしてる。これから先どうなっちゃうの・・
- 現代版
- 24 view
この記事へのコメントはありません。