翌月も左近は、満月の夜に綾女の姿を認めた。
「なぜ、3月の間なんだ?」
綾女は答えた。
・・私は、まだ寿命が尽きていないらしい。妖刀によって、少しの間眠りについているだけ。でも、誰かが強く私を求めないと、私はこのまま永遠の眠りにつくと聞いた・・
「現世でもないところに漂っているのか」
・・私は、あの夜左近にこれからのことを聞いて、本当は嬉しかった。できれば左近の想いに沿いたいと、今でも思っている・・
綾女は左近を見て微笑んだ。
・・何も、わざわざ私を抱かなくても、会いに来てくれるだけでいいんだぞ?・・
「そうはいかないさ・・」
左近はゆっくり綾女を抱きしめる。
夏の夜の短さ。恋人たちの逢瀬は儚い。
「また会いに来る。必ずお前に会いに来る」
消え行く綾女に左近は呼びかけていた。
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とても切ないけど、彼らは決して不幸せでなく、むしろ崇高な愛そのものだと思いました。素晴らしい愛の形ですね…
愛の形はさまざま。
お互いが思いあって結ばれるのがいいんだろうけれど、中には重い愛もありますよね。
身を引いたり、命を捧げたり。
この2人にはどんな愛が一番しっくりくるんでしょうね・・。