「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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月光4

左近の腕の中で息を引き取った綾女。
冷たいが暖かい月に守られ、空間を漂っていた。
どこも痛まず、苦しくもない。ただ左近の悲痛な叫びが悲しかった。
私は、これでいいのだろうか・・。
自分に問いかける。
どこからか綾女に語りかける声が聞こえてくる。
『まだお前は死んでいない。
妖刀の力を引き出しすぎ、体が拒絶反応を起こしたのだ。それ以上関われば確実に死に至ったはずだ。』
まだ生きているのか?
私はまだ生きているのか?
『それは・・どちらともいえない。
ここは死にゆく者が一時的にとどまるところ。
このまま漂えば、確実にお前にも死が訪れる。』
そうか・・。
でも私は約束がある。それを果たしたい。
左近に・・また会いたい。
『待ち人がいるのか。
ならば、お前だけの意志ではなく、その者の意志も必要になってくるが。
これから3ヶ月の間、満月の夜だけお前に体を与えよう。
3日間だが、お前とその者が会うことができれば、お前は再び生きることができるはずだ。』
わかった。
綾女と左近の強く想い合う心が、綾女をこの世に引き戻した。
気づくと滝の水を浴びていた。左近が自分を呼ぶ。
傷つきながらも自分のために来てくれた。綾女は左近に早く触れたかった。
生身の体で早く左近を感じたかった。
そして。
左近に強く抱きしめられた時、綾女は切ないくらいの愛情を感じていた。
ああ、私はこんなにも左近のことを愛している。
ひとりの女として左近を愛している。
左近の暖かい手が確かめるように綾女の体を触っていく。嬉しかった。
もう、離れたくない。
水から上がり、左近の足に処置を施したあと、顔に当たる朝日に生きている喜びを感じていた。
この世のものは、なんと美しいのだろう。
日の光、小鳥のさえずり、木のざわめき。すべてが身に染み入るようだった。
唇に左近がそっと触れる。
「お帰り、綾女」
「うん・・」
綾女は左近の胸に体を預け、擦り寄った。左近に甘えたかった。
「ただいま」
これでやっと、ふたりは何の隔たりもなく素直な心で触れ合うことができた。

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コメント

    • かおり
    • 2008年 2月 17日 11:23pm

    何度読んでも涙ぼろぼろです…ようやく幸せを掴んだ綾女。やはり結ばれるべき運命ですのね..

      • 紅梅
      • 2008年 2月 17日 11:34pm

      ありがとうございます。
      書き手冥利に尽きます。
      やっと自分の気持ちに気づいた綾女。左近もきっと綾女を離さないでしょう。

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