「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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束縛2

「綾女…」
「来い、綾女」
同時に呼ばれた綾女はふらふらと蘭丸に寄った。
綾女を袖の中に隠し、蘭丸は左近を振り返らず姿を消す。
「綾女…」
綾女が最後に落としていった小太刀が、弱い光を放っていた。
綾女は心を閉じていた。
ともに歩みたかった左近の蘇生と別れ。蘭丸に操られた体。
せめて心だけは、左近の元にいたかった。
小さな部屋には鉄格子のはまった窓が一つあるだけ。そこに閉じ込められたまま、数日が過ぎていた。
忍び道具、忍びの衣装はすべて外され、綾女は単衣のみを身につけている。
外は梅雨が明けたのだろうか、蝉の鳴き声が時々聞こえてくる。
その晩、蘭丸が綾女を連れ出しに来た。
「ここでは息も詰まるだろう」
久しぶりに見る空の色、夏の香り。綾女は少し心がほぐれた気がした。
新たな居場所は蘭丸の部屋だった。部屋の仕切りは几帳のみ。
綾女は怯えた。
その頃左近はやっと蘭丸の居場所を突き止めていた。
綾女のことを一瞬でも忘れたことはない。綾女とともに生きるために、左近は一刻も早く綾女の元を訪れようとしていた。
その晩。
綾女は眠れず、几帳に背を向けて横になっていた。几帳の向こうでは蘭丸が読書をしている。夜具を敷いた形跡はない。
やがて夜が更けて綾女がうとうとしはじめたころ、蘭丸の明かりが消え、気配が几帳のすぐ向こうまで近付いてきた。
その気配はやがて綾女の黒髪に触れる。うなじからかき上げ、息をかける。綾女はびくっと体を震わせた。
そのまま蘭丸は綾女と同じ夜具に身を横たえた。
背中からくびれた腰へ蘭丸の手が夜着の上からなぞっていく。そして前で結ばれている帯をほどこうと、蘭丸の手が伸びてきた。
「いや!」
思わず身をよじらせ、綾女は夜具から這い出た。しかしすでに帯の端は蘭丸に握られており、綾女はあわててゆるんだ夜着を抑えた。
「いや、じゃないだろう。俺との約束を果たさないのなら、左近は死ぬぞ」
言いながら蘭丸は綾女を組み伏せた。いくら影忍といえど、男と女の力の差は歴然としている。
「隷属とは、こういうことだ」
綾女の黒髪が布団の上に散り乱れた。
ターン!
襖が開けられ、そこには左近が立っていた。
「きっさまぁ!!!!」
絡み合う半裸のふたりを見た左近は鬼の形相になり、蘭丸をひきはがした。
下帯だけの蘭丸は太刀をつかみ、左近と向き合う。綾女はあわてて身じまいを整え、左近から手渡された妖刀を持った。
「なぜ、蘭丸は太刀を…?」
綾女は一瞬不思議に思ったがすぐに合点がいった。もはや念で左近を殺せない蘭丸。
ふたりの妖刀が青い光を放つと、蘭丸は今度こそ冥府魔道にその身を溶かしていった。
「綾女」
「左近・・」
左近の手が優しく綾女の頬をなぞる。綾女は恥ずかしそうに俯くが、左近の腕の中に取り込まれてしまった。
「大丈夫か、何かされなかったか」
「大丈夫だ。もう束縛は解けた」
左近の体温と鼓動を感じ取り、綾女は初めて素直な気持ちになれた。このまま左近とともにいたい。
「蘭丸は、綾女の命を半分俺に分け与えたと言っていた。すまなかった」
「ともにいられるなら、いい・・」
綾女は左近のたくましい背中に腕をまわした。
やがて・・・。
甘い声をあげて左近の背中に爪痕を残し、綾女は気を失った。(←隠し文字です)その表情は心満たされた恋人同士のものだった。

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コメント

    • おりぼん
    • 2010年 5月 26日 4:27pm

    こんにちわ、おりぼんです。
    こそこそ覗いてはいたのですが、お元気ですか?いかがお過ごしですか?
    >ターン!
    ↑ここから数行を読んで、思いっきり吹き出しましたヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
    目に浮かぶようでした、こめかみに怒りマークの左近が・・・はい、綾女と左近は永遠ですね。

      • 紅梅
      • 2010年 5月 26日 4:34pm

      こんにちは。
      先日、チャットで気になったお話があったので、(さわりの部分だけ)展開してみました。
      ・・・もっと蘭丸を鬼畜化したかった…。
      でも私の心は折れませんでした^^
      細く長く書いていくので、生温かく見守っていてくださいね。

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