青い光が放たれ、その光の中に妖魔が消えていく。
妖魔だけではなく、戦のたびに幾多もの人の命が、光の中に飲み込まれていった。
「綾之介、殺しすぎだ」
同志のひとり、左近が綾女を止めようとした。
綾女はその瞳を左近に向けるが、その瞳からは何の感情も読み取ることができなかった。
戦いは勝ちとなったが、左近は煮え切らない思いを抱いていた。
女の身でありながら、なぜもこうまで自分を追い込むような戦い方をするのだろうか。
「綾女」
ふたりきりになると、左近は本来の名前で呼ぶ。あの伊賀の里で聞いた名。
あの時の綾女はまだ少女の片鱗を残していた。呼べば、まだ応えてくれるものが残っている、と左近は信じたかった。
「何だ、左近」
綾女はまっすぐな目を向けた。何のためらいもない。左近は黙って綾女の小太刀を見た。
「それで、これから先どれくらい殺すつもりだ」
「信長を討つまでだ」
即座に硬い返事が返ってきた。綾女は言い放つと、左近に背を向けた。
「いつまでも罪を重ねるな」
左近の言葉が綾女の心の琴線に触れた。
- あの時代
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