「おはよ」
「ん」
ベッドでキスをする。窓からは朝日がさしこんできていた。
俺が新聞を取っていくと、すでにおせちがこたつに並べられ、お屠蘇も用意されている。
「あけましておめでとう、左近」
「おめでとう、綾女」
濃厚なキス。お屠蘇を少し綾女に仕込んだ。
「もう、ダメよ、そういうことは。これから初詣に行くんだから」
軽く怒られ、綾女が作ったおせちを食べる。毎年腕が上達していると思う。
「あら、お昼過ぎから雪かもって。早く行って早く戻ってきましょう」
「そうだな」
そろって出かける。歩いて20分くらいの沙沙貴神社は恋愛成就や安産の神様。お参りをする。
「大好きな綾女と一生一緒にいられますように」
「もう、声に出さなくても」
「いいじゃないか。一緒にいたいんだから」
綾女もお参りをした。
「あら、左近さん、綾女さん」
佳代と龍馬に会った。佳代のおなかは少し目立ってきていた。
「安産祈願で来たのよ。桜の咲く頃に生まれるから、来年は3人でくるようだわ」
「わぁ、おなか触っていい?」
綾女は佳代のおなかをやさしく触った。佳代と二人ひそひそと二言三言交わして、綾女はにこにこしていた。
帰宅すると急に薄暗くなり、雪が降ってきた。
「予報通りね。今夜いっぱい降るらしいわよ。明日は雪かきをしなきゃ」
「スコップと長靴を出しておいたよ」
「ありがとう」
軽く家の中を掃除する。ふたりでこたつに入りながら届いた年賀状を見ていた。
「今年は子供が生まれたという年賀状が多いな」
「そうねぇ。ここ何年か結婚ラッシュだったからかもね」
「俺たちも結婚したよな」
「そうね、今年の6月で3年目になるのね」
綾女は体調を整えるために、結婚当初から薬を飲んでいる。だから俺の方は別にコントロールをしていないが、さっきの神社での綾女の様子を思い出しながら、言ってみた。
「…そろそろ、解禁しないか?」
綾女は顔を赤くして頷いた。
即答?難しい顔をするかもと思っていたが、あっけなかった。
「え?いいのか?仕事は?」
「大丈夫なの。体調もね、先月先生と相談して、今クールで薬をやめることにしたの」
綾女は嬉しそうだ。もちろん、俺も嬉しい。綾女をぎゅっと抱きしめる。
「わかっても言っちゃだめよ、さっき私がお願いしたことわかった?」
俺は黙って綾女のおなかをさすった。
「そうなの。佳代さんにいろいろ相談していたのよ」
結婚した時、綾女は事後に体調を崩していた。出血があったりサイクルが乱れた。俺との相性が良くないのかと綾女はよく悩んでいたが、薬を飲み始めてだんだん体調が良くなってきた。綾女の体調を考えて俺もずいぶん我慢したが、正直限界だった。体調が戻った今でも、俺は8割程度しか発揮できていない。男の性として出せば終わりという考え方があるが、俺はそう思わない。やはり命をつなげたい。綾女は特別だ。
俺も綾女もいい年になりそうな予感がした。
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