「私が表紙に?」
話が決まったとたん、綾女は蘭丸たちの計画に呑まれていった。
左近とふたり、にわかモデルになって各結婚情報誌の表紙や広告に掲載されていった。もちろん、左近が作家であることもクローズアップされており、再び妖刀伝が再燃した。サイトもアクセス数が桁違いに増え、本も印刷工場フル回転で増刷が重ねられていった。
もちろん、妖刀伝の舞台になった安土山も訪れる人が増え、おばちゃんたちも忙しくなった。
「喜平次のおかげだな」
「いや、お前らのおかげだよ。左近の綴った悲恋がサクセスストーリーになるんだからな。それに」
喜平次はスクリーンの前の綾女を見る。
「本当に綺麗になったよな。髪も手もモデルができるくらいだ。シャンプー、化粧品、アクセサリー、服、靴、あいつひとりでやっているからな。本当に幸せいっぱいで仕事に入っているから、みんなの受けもいいし、何よりスケジュールによどみなくできる。お前がいるからだよ。俺にはできないな」
「喜平次、式の前日は空けられるんだろう?」
「ああ、このまま順調に行けば、2日は空けられるな。お前らも本番に備えてゆっくり休めよ。当日は戦場だからな」
「わかった」
喜平次と左近、その時だけわだかまりが消えていた。
当日。
喜平次が作り上げたドレスを身に纏う綾女。蜉蝣のように幾重にも重ねられたシースルーから、ほんのりと体のラインが浮かび上がる。黒髪を結い上げメイクを施された綾女は、見慣れているはずの左近でも目を奪われる美しさがあった。凛とした雰囲気は、昔の綾之介を思わせる。
やや長めの髪をそのまま後ろに流し、白いタキシードを着た左近。
そして誓いの口づけ。
式が終わると、左近は綾女をお姫様抱っこし、そのまま帰宅した。
- 時を超えた絆
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