朝の日課。綾女が佳代の店を訪れている時。
「この間の佳代さんのお式、すごく良かったわよ」
「綾女さんも挙げたらいいのに」
佳代は言いながら、お気に入りのカップでお勧めのコーヒーを出した。添えた左手に、キラキラと指輪が光っている。
「そんな・・・だって私たち戸籍ないし」
赤くなって手を振る綾女に、佳代は笑った。
「なに言ってんの。あのね、私たちも厳密なことを言ったら幽霊よ、幽霊。でもこうして商売できているし、細かいこと気にしないの」
「そう・・?」
「本当にまじめなのね。でもそういうところを左近さんが好きになったのよね」
またまた頬を赤らめる綾女だった。
翌日、綾女が出社すると蘭丸に呼ばれた。
「何よ」
「おい、会社では編集長と呼べよ」
「はいはい、編集長。これから取材に出るので3分で話してもらえますか」
蘭丸は立ち上がり、綾女を正面から見た。近くで見ると迫力負けするほどの美青年。さすがの綾女も少しうろたえた。
「とうとう人妻になってしまうんだな。しかたない、おめでとう」
「は?」
次の瞬間には電話で話している蘭丸。綾女は蘭丸の言葉を考え、車に乗ったとたん回線が繋がった。
「ええええっっ??」
同乗したカメラマンが飛び上がって綾女を見る。
「ご、ごめんなさぁい、なんでもないの」
「いきなり声出すからびっくりしましたよ。大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
取材先はヘア&メイクアーティストであり、スタイリストでもある喜平次のところだった。
- 時を超えた絆
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