龍馬が言った3日間。綾女にはとても長く感じられた。
4日目の朝。
綾女は知った雰囲気に目を覚ました。待ち続けていた男が綾女を見つめていた。
「左近」
「ただいま」
変わらない姿に、綾女は胸が痛くなるほどの嬉しさと懐かしさを覚えた。左近が腕を伸ばし、綾女を抱きしめた。
「寂しい思いをさせた。すまなかった」
「もう、急にいなくならないで。理由を聞かせて」
以前よりも逞しくなった左近の体に腕を回し、綾女は真剣な声で言った。
「SAT?]
「そう。龍馬は上司だからいいが、隊員は本当に秘密裏に行動しなくてはならないんだ。誰にも身元を明かせないし、今回のように要請があれば迅速に行動しなければならない。寂しい思いをさせてしまった」
「ごめんなさい、私、知らなくて・・」
左近はじっと綾女を見つめた。離れていた3ヶ月間、いつも会いたいと願っていた。早く明るい笑顔を見たいと願っていた。
「私、龍馬さんや佳代さんに相談してしまったの。左近が一休みしたら、一緒に行きたいんだけど?」
「今、行こう。帰ってきたって俺も挨拶をしたい」
ふたりは連れ添って佳代の店に行った。
「あら、龍馬さんが言ったとおりだわ。お帰りなさい」
佳代が少しばかり含んだ笑顔で迎えた。そばで龍馬もホッとした顔をしている。
「この間はごめんなさい。ちゃんと左近から理由を聞きました。これでもう大丈夫」
綾女に明るい笑顔が戻ってきていた。
翌朝。
綾女はいつものように佳代のお店に顔を出した。
「おはよう・・」
「あら綾女さん、おはよ。あらら」
現れた綾女は腰に手を当てているが、色っぽく輝いていた。あまり使わないスカーフを首に巻いている。
「お熱い夜だったのかしら」
綾女は真っ赤になった。スカーフはキスマークを隠すため。夜通し左近は綾女を愛した。
「もう、信じられない!私がこんなになっているのに、左近はまだ足りない、ですって」
「それだけ愛されているのね」
「そんなものなのかしら。佳代さんのところはどれくらいなの?」
いきなり矛先を向けられて佳代は驚いた。
「え、えっと・・毎晩・・かな」
しどろもどろに正直に答えてしまって、佳代は赤くなった。綾女は我に返った。
「ご、ごめんなさい・・変なこと聞いてしまって。そうよね、新婚さんだものね」
「いえ、いいのよ。綾女さんのところも、結婚するんでしょ?」
「うん。佳代さんのブーケのご利益よ」
綾女の薬指には、夕べ愛し合う前に左近がはめた指輪が光っていた。嬉しくて涙を流した綾女に、左近は優しくキスをした。そのときのことを思い出して、綾女はくすっと笑った。
- HIT記念
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