これからどのように生きていこう・・。
迷う間もなく妖魔が現れる。
妖魔を青い光で斬りながら綾女は、命が尽きるまで妖魔を狩ることに決めた。
いつの頃からか。
風が綾女に吹くようになった。綾女にしかわからない、懐かしい風。
綾女がいるところはいつも人気がないところだが、それでも風に答えたり少し微笑んだりする姿は、はたから見れば奇妙なものだったに違いない。
それでも綾女は愛おしい者の気配を感じられて嬉しかった。だから生き続けることができた。
「今宵は満月。桜も満開で美しいな」
綾女は何かが起きるような予感がした。
青い光が桜の大樹を揺らした。その光に大きな妖魔が飲み込まれ、消えていった。綾女は膝をつき、地面に手をついて肩で息をしていた。
いつまでこのようにしなければならないのか。先の見えない不安と絶望に綾女は大きく息を吐いた。
『綾女、大丈夫か』
左近の声がする。
「ああ、少し力を使いすぎただけだ」
綾女は声のした方を見上げた。
「あ・・」
見る見るうちに綾女の瞳に涙が浮かぶ。月と桜の成せるまやかしなのか、そこには左近が生前の姿のまま立っていた。
- あの時代
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