「左近・・・」
綾女の頬を涙が流れる。
なんということだろう。今、この際になって綾女は左近への想いに目覚めた。
私も・・左近を愛している。
だがその左近はすでに息絶えていた。やさしげな微笑を残しながら綾女を守って逝った。
「最期まで・・優しかったのだな・・・」
冷えゆく左近の体を抱き上げ、頬に自分の頬をつける。唇を重ねる。
ああ、この唇はあんなにも熱かったのに。
やがて綾女は左近をゆっくり横たえた。太刀を左近の上に乗せ、土をかけていく。
さようなら、左近。
もう一度涙を拭いて綾女はその場から去った。
- あの時代
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