「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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Shinobi1

荒波の時代。
歴史の影にひっそりと埋もれている影忍の里のひとつ、香澄が代替わりをした。それに際し、里長の妹が日向のもとに嫁ぐ予定となっていた。
だが・・・。
代替わりの前後は、国力が一番不安定になる。そこを突かれた香澄は、ほぼ壊滅状態に陥った。
「兄上!」
近々祝言を挙げるはずだった妹、綾女が兄進之助の手を握りしめる。
「綾女、すまぬ・・・」
進之助は苦渋の決断を綾女にさせようとしていた。面差しの似た妹。忍びの腕が立ち、男であれば里長としての資質も備えていた。
「香澄を、香澄を守らねばならぬのだ。この御神刀を継げる者は、もうお前しかいない。わかってくれるか…」
「兄上。私に、男になれとおっしゃるのですね」
進之助は、綾女の細い指を握った。
「女として幸せな道を用意したのだが、私が不甲斐なくてすまない」
綾女はまだ顔も知らない、未来の夫を思い浮かべた。それを振り切るようにして、兄に向き直る。
「兄上。里の人がひとりでもいる限り、里を守らねばなりません。私は男になります」
綾女が女を捨てた瞬間だった。
だが、その時にはすでに里の人はこの世にはおらず、綾女ひとりが生き残っていたのだった。
「なんということ・・・」
三日三晩里人を探し回るが、誰も返事はしてくれない。亡骸さえも猛火に焼き尽くされ、それでも遺体があれば綾女は埋めて、弔った。
「誰も・・いなくなってしまった」
大きな喪失感と脱力感が綾女を襲う。何度も泣き叫びたい思いにとらわれた。だが、叫んだところで何が変わるわけでもない。
娘らしい体を忍びの服で包み、綾女は日向の里に向かって歩き始めた。

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