愛する綾女の顔を見た。
ああ、俺はこんなにも綾女を愛している。
薄れゆく意識の中で想いだけが溢れた。
まん丸な月が綾女の背後にあったことをはっきりと覚えている。
「ん・・」
しばし眠った俺は、ふと目を開けた。
目の前に茶色の毛。だがよく見ると髪ではなく、体毛らしきもの・・。
「なんだ??」
俺はあわてて立ち上がった。手を見るが、犬のようだ。またずいぶんと地面が近いので、体も小さくなっている。あちこち見回し、動転していると聞き慣れた甘い声がした。
「左近」
「綾女」
でかっ。綾女が天を覆うばかりに上から俺を見下ろしていた。俺の頭を指で軽くさするが、俺は綾女の親指ほどしかないので体がグラグラ揺れる。
「ふふ、かわいい」
鏡を見ると、俺は小さな小さな子狐になっていた。
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