「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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子狐7

俺が子狐になってから10日目の朝。
丸くなっていた俺の体に痛みが走った。急に体が硬くなったようで、俺は少し体を伸ばした。
「ん?」
手足が長く伸びる。そして寒い。俺は起き上がった。体のあちこちを見て、人間に戻ったことを確認した。
島の看板の裏を見てみる。
「綾女からのキス、100万・・・」
綾女はまだ静かに寝息を立てていた。俺はその綾女の唇に自分のそれを重ねた。
・・・ありがとう。
「あ・・」
綾女が目を覚まし、少し驚いたように俺を見た。そして見る見るうちに赤くなる。
「また・・その姿で」
「あ、す、すまない・・」
慌てて普段着に袖を通す。綾女がくすっと笑う。
「やっと戻れたんだな。10日ぶりか」
久しぶりに等身大で見る綾女は、細く華奢で香り立つ花のようだった。
「俺は、今までと変わらずお前と過ごしたい」
「え?」
俺は照れ隠しに綾女を抱きこんだ。綾女は抵抗もせず、その体を俺に預けている。
「いつも共にいたい。こうして話して、お前の顔を見て、風呂や寝床も共に・・・」
言葉の後半で綾女の体が強張った。だが俺は言葉を続けた。
「夫婦に、ならぬか」
「え・・?」
綾女が俺を見上げる。俺は確信した。綾女こそ、俺の妻になるべき女性だと。
「私で、いいのか?」
「お前でなくてはいけない。そう思った。一度死んだ身が動物の姿を経てまで生まれ変わり、こうしてお前と話ができる。俺はお前と添い遂げるべきだと思う」
綾女は黙って俺に抱きついた。肩が小刻みに震え、涙が俺の胸元で温かく流れるのを感じた。
「ありがとう・・私は、ずっと、左近を待っていた・・。会いたくてたまらなかった・・・」
泣き濡れた唇を俺はたっぷりと味わった。

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