俺が住んでいる島は、盆栽のような大きさだ。そこで昼寝をしたり綾女をからかったりして過ごしている。
だが1日もたたないうちに、俺は飽きた。
餌箱から餌を出して食べるがすぐに腹いっぱいになる。体が小さいので体力もない。
「綾女〜」
呼んでも、いない者からは返事がない。
俺、ずっとこのままなのかな。
考えるうちに、いつの間にか俺は眠ってしまったらしい。
気づくとすでに外は暗くなっていた。
目の前にあるのは茶色い尻尾・・ではなく、人の毛のようだった。
「あれ?」
俺は自分の手を見る。人の手。視界は見慣れた高さ。月の光に、俺の姿が影になってうつる。
「ああ、俺だ。夜になると戻るのか?それとも満月の時だけ戻るのか」
いきなり障子が開いた。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
俺と綾女、見つめ合って固まっていた。
見る見るうちに綾女の顔が赤くなる。そういえば俺は何も着ていなかった。
「いやぁぁぁっ」
叫んで綾女が飛び出し、俺は慌てた。手近にあった夜着をつかみ、着ながらあとを追った。
庭の池のほとりで綾女は座り込んでいた。俺は少し離れて気配をうかがった。
「左近・・どうしてその姿に?」
「俺にもわからん。どれだけこの姿になっていられるのかもわからん」
俺は綾女に近づいた。池に俺の姿が映る。変わらない姿だった。
「朝には、戻るのだろうな」
「わからんな。でも俺は」
綾女を後ろから抱きしめた。緊張して硬くなる綾女。優しい髪の香り。
「俺は、今この姿でできることをしたい」
綾女の髪をほどき、美しい髪を手ですく。綾女は黙って俺を見つめていた。その瞳は切なさ、愛おしさの色をしていた。
俺はそっと唇を重ねた。
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