「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. テーマ
  2. 41 view

織姫1

白い指が器用に針を動かしていく。
くるくると糸を巻き、すっと伸びた糸をはさみで切った。
「できた・・・」

織姫工房の綾女。
春から目が回るような忙しさだ。富岡から極上の絹糸を仕入れ、それを元に織り上げる機織班。織物を客のオーダーに合わせて裁断し仕立てる仕立て班。そして豪奢な刺繍を施す刺繍班。
綾女は刺繍班だった。
明るい日差しのもと、節目がちで針を動かす姿はとても清楚で深窓のお嬢様の趣味のように見える。しかし実態は。
「あー、痛い痛い、肩痛いー、誰か揉んでー」
と、仲間同士で言いあい、お互いに肩を揉み合う休憩時間。
手の届く場所には肩叩き棒、ハンディマッサージャーがコードをからめてぶら下がる。
織姫工房のセールスポイントは、なんといっても刺繍班の手作業による刺繍。そのためマッサージ室も特別に設置され、誰でも無料で利用できるようになっている。

「桔梗さん、お願いー」
刺繍をしている姿勢で固まってしまったような綾女がお昼休みにマッサージ室を訪れた。
「あらら綾女さん、今日は一段と辛そうですね」
「うん、首も肩も背中も腰も頭も痛い」
触ってコチコチなのを確認した桔梗はクイックマッサージを始めた。
「今日は時間が少ないから即効性のあるマッサージしかできませんけど、一度じっくり時間をかけてマッサージしたほうがいいですよ。このままだと首も血行が悪くなって目にきてしまいます」
「そうねぇ・・・」
綾女はうっとりと桔梗に揉まれている。休憩時間は瞬時に終わってしまった。
「ありがとう。楽になったわー」
「あのこれ、私の名刺です。お時間があったらマッサージ受けてくださいね」
ラメの入ったきれいな名刺。綾女は喜んで受け取った。

テーマの最近記事

  1. 織姫15

  2. 織姫14

  3. 織姫13

  4. 織姫12

  5. 織姫11

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


カテゴリー
アーカイブ