月、火、水、木・・・
日がたつにつれてだんだん綾女は疲れてきた。
いつもの場所が重く凝っている。
金曜日。凝っているところが冷たい。血行がほとんどなくなっているようだった。
「桔梗さぁん・・・あ!」
マッサージ室には臨時休業の札がかかっていた。
「今日は休みだってさ」
通りがかった左近が声をかけた。倒れそうな表情の綾女を見て
「揉んでやろうか」
と試しに言ってみる。
綾女は悩んだ。しかしこの凝りから開放されたい。
「お願い」
ベンチに座り、後ろに左近が立つ。綾女の背中をスーッと触ると、不思議と凝りがわかった。
「ここだろ」
グッと左近の指が入る。
「すごい、そこだよ!なんでわかるの?」
グリグリと押し込んでから周りをゆっくり深く揉み解していく。
「この間買った本に載っていたんだ」
「はー気持ちいいなぁ、すごいね左近、あんなに下手・・・だったのに」
「岩みたいだな、こんなに凝って、大変だな」
「今ねぇ、6月15日に挙式予定のドレスをやっているのね。そのドレスを着る人、すごくスタイルがいいみたいで羨ましいくらい。刺繍もすごいの。私の技術をフルに出しているのよ。あれだけのドレスを着こなせるなんて、相当きれいな人なんでしょうね。幸せになってねってひと針ごとに思いをこめているの。普段はこんなことないんだけど」
左近の指が離れた。
「さぁ、だいぶ楽になっただろ?仕事頑張れよ」
「うん、ありがとう」
「綾女、マッサージ室閉まっていたでしょ」
「うん」
「すごくスッキリした顔になっているけど?」
「左近に揉んでもらったの。さすが男の人は指の力が違うわね」
「よかったじゃな~い。彼今日まで出張だったんでしょ、いいなぁ、彼にマッサージしてもらえるなんて」
「へへへっ」
そして綾女はそのドレスを仕上げられた。
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