綾女は目がさめた。一瞬、自分がどこにいるのかわからなかったがすぐに思い出した。
「そうだ、あのふたりは」
起き上がろうとして体中の痛みに呻いた。あちこち包帯が巻かれてある。それでもやっとのことで起き上がり、そっと部屋を出た。
大体の見当をつけてそっと部屋を覗く。茶色の髪が見えた。
「左近・・」
切ないくらいの想いが湧いてくる。
その向こうに濃い青い色の髪が見えた。
「蘭丸・・?」
ふたりは隣り合って眠っている。規則正しく息をしている。
蘭丸はすっかり普通の青年の顔になっており、左近と見比べても見劣りしないほどの美青年だった。
「ここにいらしたんですね」
壮年の医師が声をかけた。
「お世話になりまして・・。ところでこのふたりの容態は」
「いい方向に向かっておりますよ。傷の治りも早いし、あと10日もすれば起きられるでしょう。あなたの回復も早いですね」
医師はニコニコと笑っている。
ふたりが目覚めるまでの10日間は平穏だった・・・。
- HIT記念
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