翌朝、綾女は寝返りを打った。
手が何かに当たった。
なんだろう・・・。
夢うつつの中でぼんやりと綾女は考えた。
当たった手の先がほんのり温かくなった。綾女はゆっくり目を開けた。
まず視界に入ったのは、広い背中だった。背中に綾女の手が当たっていた。
「あ!」
小さく声を発した。
そういえば、眠りに落ちる前左近がそばにいた。
まさか、左近と共寝したのか・・?
左近が身じろぎし、綾女のほうを向いた。茶色の髪がさらりと流れる。そして綾女を抱き込んだ。
「んっ・・」
綾女はもがいたがしっかりと抱えられ、動けない。やがて左近の温かさにつられて、また眠ってしまった。
左近は腕の中で眠る綾女をいとおしげに眺めた。
いつの頃からか、この少女に惹かれるようになった。
もしかすると、初めて会ったときからかもしれない。
男の身なりをしても、その内からの輝きを左近は見逃さなかった。
恋。
左近は綾女に恋をしていた。
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