「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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夫婦になるまで1

あたり一面が焦げ臭い。
辛くも死を免れた綾女と左近。体に傷はあるが、深いものはない。
「行こうか」
「ああ」
香澄、日向、葉隠、どこの里ももう存在しない。
そもそもこの戦いで死ぬ覚悟ができていたから、今後のことは何一つ考えていなかった。
2人とも戦いが終わった緊張が解けたのとで、非常に疲れていた。どこかで早く体を休めたかった。
山中に少し分け入る。
石の洞があったので、そこに身をひそめる。
「綾女、先に休め」
「ああ、少ししたら代わる」
身を横たえた途端、綾女は寝息を立てはじめた。顔についたすすを、左近は優しく取り払った。

雪の蓬莱洞で肌を合わせたあと、綾女に囁いた。
「夫婦となってそなたを抱きたい」
綾女は覚えているだろうか。
綾女の抗いを簡単に組み敷いて、左近は我が物にしてしまった。恨まれても仕方がないことだ。
安土で再会しても、綾女の表情に変化はない。そして今も男のそばで恥じらいも見せずに寝入ってしまった。
「お前は俺のことをどう思っているのだろうな」
寝顔を優しく見つめながら、そっと左近は呟いた。

一時ほどして綾女が目覚めた。
「左近、代わるぞ」
身支度をすばやく整えて綾女が左近を見る。
「ああ」
そのままごろんと横になると、綾女の膝に頭が乗った。
これは、なかなかいい柔らかさだ。
途端に頭を落とされる。
「馬鹿、どこに乗せている。何かあったときにすぐに動けないじゃないか」
少し顔を赤くして綾女が怒っている。
左近は笑いをこらえながら、自分の腕枕で眠った。

綾女はそっと左近を見る。
出会った頃は気に食わないキザな男だったのが、あの蓬莱洞で激しく愛を告白された。怖くて抗ったが、嫌ではなかった。夫婦になろうと言った左近に、寄り添いたい気持ちになったのは確かだった。
でも安土の戦いがあったから、今まで忘れていた。
今は、どうなのだろう。綾女はまだ自分の気持ちが整理できないでいた。

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