「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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想い人3

左近が伊賀の里を出て行く。
綾女はあとを追った。
「お前の本当の名は…?」
優しい声で左近が尋ねる。今まで触れたことがなかったのに、左近の手が綾女の頬、そして唇に触れる。
今別れたら、今生の別れになるかもしれない。
「綾女。香澄の綾女」
その瞳は潤んでおり、ついに一筋の涙が綾女の頬を伝った。その変化に綾女自身も驚き、慌ててぬぐおうとする。
「よい名だ・・」
左近の指がそっと涙をぬぐう。
「死ぬなよ、綾女」
左近の指が離れ、綾女は後姿を見送っていた。夏の夕暮れ、ヒグラシがうるさいほどに鳴いていた。
守りたい。
たった今聞いたばかりの名を、左近は何度も反芻していた。
綾女。
綾女を守りたい。
だが、今の自分ではこの妖刀は覚醒できていない。
手に、先ほど触れた感触が蘇る。
頬の滑らかさ、柔らかさ、温かさ。唇の・・熱さ。涙の熱さ。
綾女が流した涙を見たとき、何度抱きしめたいと願っただろうか。
もっとそばにいたい、あいつの笑った顔を見たい。
同情から憐憫に変わった感情は、今は恋に変わっていた。

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