「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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残照2

「なぜ、私を・・?」
仮の褥に二人の髪が混ざる。髪をほどいた綾女は美しく、左近はそのひと房を手に取り、口付けた。
「私でなくてもいいのではないのか」
左近は胸をつかれた。この想いを口に出すことができたら、どんなに楽だろう。しかしその戦国の世。明日をも知れぬ命・・。
言ってしまいたい・・!
「私を辱めて・・それでお前の気が済むなら・・」
「違う」
綾女は左近を見た。こんな感情をむき出しにした左近は見たことがなかった。切なげで、まるで愛おしいものを見る瞳。
「左近・・?」
「好きだからだ」
綾女はその瞳に絡めとられそうになった。
「だからお前を・・」
左近の指が綾女の帯をほどきにかかった。綾女は抵抗することすら忘れていた。ふと、左近の指が止まった。体を綾女から離した。
「左近」
緩んだ襟元を押さえて綾女が体を起こした。
「もう、よい」
「何が・・?」
「俺に抱かれなくてもいい、ということだ」
「安土には来ると?」
「ああ、約束だからな」
綾女は黙って自分の帯をほどき始めた。どうしていいかわからなかった。左近の告白を受けて、戸惑う気持ちが先にたった。
上着が衣擦れの音を立てて綾女の肩を滑り落ちた。それを左近は押さえた。
綾女が左近を見上げる。綾女の優しげな瞳が左近を捉えた。
「いいのか?」
綾女は黙って目を閉じた。

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