綾女は左近の気持ちに応えようとしていた。
そうしなくても自然と左近に対する想いは溢れてきた。
「初めて・・」
左近が呟く。左近の唇が綾女の首筋を這う。甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
「好きに、なった」
綾女の唇を左近が覆い、貪る。唾液で濡れた二人の唇がやっと離れ、糸が伝う。
綾女は自分の体が”女”に変わっていくのを感じていた。今までが禁欲的で、潔癖な性格も併せ持った綾女には、あまりにも甘い刺激だった。
「誰を・・」
左近は綾女の耳元で囁く。
「お前を・・」
体だけの関係なら、もう何人もの女を抱いてきた。しかし欲望を吐き出したあとには空虚感だけが残った。この少女は男の身なりをしているが優しい、素直な娘だった。この世には似つかわしくないほどの純粋な瞳を持っていた。
いつの頃からか、左近はこの少女に恋をし始めていた。
「綾女、好きだ」
綾女はその言葉にとろけそうになった。もう、自分の中の女に委ねたい・・・。けれどまだ怖さは残っていた。
左近の手が、すっかりはだけてしまった綾女の体を撫でていく。白い体が浮かび上がる。胸に巻かれたさらしを左近がほどくと、やや大きめの乳房が揺れて現れた。その先端を左近が口に含むと、綾女は眉間にしわを寄せた。
左近は自分の衣類も脱ぎ捨てた。たくましい裸身が焚き火に照らされ、筋肉の影が濃くうつった。
「私は・・」
綾女は目を閉じた。左近に想いを打ち明けられ、戸惑いが先にたった。けれどこの甘い疼き。左近がそばにいて当たり前だった。
できればこのまま、これからも一緒にいたい・・・。
「一緒に、いたい」
左近の瞳が一瞬大きく見開き、綾女を抱きしめた。綾女はもう迷わなかった。自分の中の女に委ねよう・・・。
- あの時代
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