新学期が始まる。
「おはよう、佳代」
佳代は振り向いた。そこに綾女がいる。
「ど、どうしたのよその髪!」
「変?」
ばっさりとショートヘアにした綾女は、凛とした雰囲気を持っている。
「かっこいいよ。宝塚みたい」
「ありがとう。ずっと長かったから、1回切ってみたいと思っていたんだよね」
佳代は綾女の手をとった。
「もしかして左近先輩と何かあったの?」
「いやいや、関係ないって」
「言葉遣いも何だか違って聞こえるなぁ。それじゃ女の子にもてちゃうよ?」
「そんなことないよ」
そこに蘭丸が通りがかる。
「綾女か?」
上から下までじろじろと綾女を眺め回す。
「ほぉ〜、これはまた思い切ったな。左近に振られたか」
綾女より佳代の顔色が変わった。
「そんなことあるわけないでしょ!」
「女が髪を切るのは失恋したときだろう?」
「馬鹿ね、綾女が振られるわけないじゃない、振ったのよ!」
「ちょっとちょっと、振ったの振られたのって人聞きが悪い」
綾女が仲裁に入る。
「あ、ごめん」
佳代が謝るのを綾女は苦笑した。
「違うのか?」
と、蘭丸。
「本当に、ただ髪を切ってみただけです」
蘭丸がメガネを外した。ゆらっと空気が揺れる。
「綾女、きれいだ。俺と付き合え」
「お前とは前世で散々刀を突き合わせてきたじゃないか」
蘭丸が燃えるような瞳で綾女を見つめ、顎を持ち上げる。綾女は蘭丸の頬に手を添えた。
むにー
蘭丸の口が横に大きく引き伸ばされた。
「な、何をする」
蘭丸は慌てた。
「あははははははは」
佳代がお腹を抱えて笑う。つられて綾女も笑った。
蘭丸はメガネをかけなおすと、ふっと笑った。
「左近に言っておいてやる。綾女を離すなってね」
「蘭丸って案外いい人だね」
「そうだね。春から左近先輩と同じ大学なんだって」
「ふ〜ん」
綾女は佳代と蘭丸の気遣いが嬉しかった。
- 現代版
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