綾女ははっと気がついた。
「いけない、左近」
台所からいい匂いがしている。
「起きたか。まだ寝ていろ」
「私、倒れちゃったの?」
「そうだな。30分くらい寝ていた」
「ごめんなさい」
左近が台所から出てくる。
「顔色はだいぶいいな。お風呂も沸かしておいたから、入っておいで」
「ありがとう・・。私の部屋なのになんか変だね」
綾女は湯ぶねに浸かって大きく息を吐いた。
「終わったんだな・・左近とも久しぶりに会えて嬉しいな」
そういえば、本当に4月以来会っていなかった。4月・・・。
綾女の脳裏に、今まで忘れていた光景が蘇った。鼓動が早くなる。
もしかして、今晩も・・・?
いや、私は睡眠不足だし左近は優しいから。
綾女は湯ぶねから上がり、歩こうとしたが内股の違和感に気がついた。
「やだ、私」
シャワーで内股のぬめりを流した。だがとろりとしたそれはなかなか落ちず、綾女は焦った。
「綾女、大丈夫か。長いぞ」
長湯を心配した左近が声をかけてきた。
「だ、大丈夫、寝てないから」
綾女は体を拭きながら答えた。綾女はショーツをはく前にもう一度ティッシュでぬぐった。
左近が心配そうに待っていた。綾女の顔が赤いのを見て、両の頬へ手を当てた。
「のぼせたか?」
「ううん、大丈夫」
「じゃあ俺も入ってくる」
「うん」
綾女は息をついた。左近の顔が見られなかった。あのまま見ていたら体の心が熱くなっていただろう。綾女は髪を乾かし始めた。
- 現代版
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