「ねぇ左近、今日は何を食べたい?」
「そんな無理しなくていいぞ」
左近がそっと綾女の手を取った。絆創膏が貼ってある。左近が絆創膏の場所にそっとキスをする。
「あ、恥ずかしいよ、こんなところで」
「っ、ごめん」
左近も顔を少し紅くして綾女の手を離した。
気づけば周りの人が見ている。
「きれいな人ね」
「モデルさんかしらね」
綾女は左近を引っ張り、その場から離れた。
「そうだなぁ、綾女の得意料理が食べたいなぁ」
「うん。昨日洋食だったから、和食にする?じゃあお買い物いこう」
馴染みのスーパーなのか、夕方の混雑をするする抜けていく。たちまちかごに鍋野菜をたくさん入れて左近のところに来る。
「味は何がいい?寄せ鍋?豆乳?ちゃんこ?チゲ?」
「寄せ鍋・・・」
綾女の勢いに押されてしまう。
スーパーから出て、左近と二人袋を下げて一緒に歩く。
「なんかさ、この風景って恋人より新婚夫婦みたい」
綾女は言いながら顔を紅くした。
「手伝うよ」
左近は腕をまくって綾女のそばに来た。
「え、いいよいいよ、座って待っていて」
「でも手が痛いだろ」
「ありがと」
左近の包丁使いもなかなかのものだった。味付けは綾女がする。
「ん、おいしっ。左近上手だね」
一緒に鍋を食べながら綾女はとても幸せそうだった。
- 現代版
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