「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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風が舞う時7

翌日、担当する場所が変わり、佳代は龍馬と一緒だった。
仲よさげに半分佳代が強引に楽しく話していた。
「そういえば、頑張るって言っていたもんなぁ」
綾女にはその積極さが少し羨ましかった。
今日組んだのは、18歳の森という美青年だった。
ふと視線を感じれば、綾女をじっと見ている。
「な、何ですか」
「君、どっかで会っていない?」
「いいえ、初めてですけど」
「そっか」
森はまた黙々と発掘し始めた。綾女はなるべく目を合わせないようにスコップを握り締めた。また視線を感じる。ふと見ると、森の靴が目の前にあった。
「えっ」
「綾女ちゃん、胸大きいんだね。谷間が見えるよ」
「は、はぁ??」
森は胸元を覗き込んでいた。
「ちょ、ちょっと、何なんですか!」
「俺、褒めたんだけど。嬉しくないの?」
「嬉しくないっ」
「そっか」
森はまた離れたところで淡々と発掘し始めた。
左近が回ってきた。
「左近、左近」
こっそりと手招きをして物陰で囁いた。
「どうした?」
「あの人、何なんですか。人をじっと見ていたり、変なこと言ったりするんですよ」
「ちょっと変わっているんだ。でも発掘のプロだから。ところで変なことって何を言われたんだ?」
「え、えーと・・」
綾女は胸をそっと隠した。
・・ははぁ、そこを言われたか。あいつ好きだもんな・・
左近はチラッと見た。
・・確かに言われるだけのことはある。ああいかんいかん・・
「女の子にはみんな言うんだ。だけどそれきり言ってこないから」
「そうですかぁ?」
綾女はまた現場に戻った。
黙っていれば相当の美青年だ。メガネをかけて知的でもある。左近といい勝負だ。今度は綾女が森をじっと見ていた。
「なんだ、用か」
「え、いやあのその・・・」
森が大股で近づいてきた。綾女は立ち上がる。
「綾女ちゃん。発掘は共同作業だからね。脇見はしない、無駄口は叩かない。これ基本ね」
「は、はい」
森はメガネを取った。すさまじい色香が漂う。
「それとも、俺と人生の共同作業をしたいの?ん?」
「したくないですっ」
メガネをかけなおした森はすたすたと自分の持ち場に戻り、黙々と作業を再開した。
「森がメガネを外したのか?」
龍馬は驚いた。
「あいつがメガネを外したら最後、その場の女性はみんなあいつの虜になってしまうという伝説がある。よく無事だったな。何ともないか?」
「はい、別に」
龍馬は安心したように腰掛けた。
「左近。お前はそれを知って組ませたのか?」
「いや、知らなかった」
綾女の前で会話は続く。
「お前も好きな女を他の男と組ませることなんてするな」
「りょ、龍馬・・・」
綾女は左近が自分のことが好きなのを聞いて驚いた。
左近は肯定も否定もせず、困った顔をしていた。本音を龍馬が代弁してしまったからだ。綾女は左近の困った顔を見ると慌てて繕った。
「あ、私別に気にしていませんから。失礼します」
その場をさっと離れた。

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