綾女は布団の中で寝返りを打った。
「うーん、飲みすぎたのかなぁ」
トイレに行こうとして、何かを踏んだ。
その何かはモゾモゾと動いてそしてとまった。
「左近、踏んじゃった」
ベッドには綾女、床にはマットを敷いて左近が寝ていた。
左近も綾女も今日は忙しくて眠くてたまらず、そのまま寝てしまった。
左近の寝顔を見つめる。
「きれいな顔だなぁ」
まじまじと見つめ、綾女はくすっと笑った。
「黙っていればいい男なのにね。もう一眠りしよう。ふぁ・・」
たちまち綾女は眠りに落ちていった。
朝。
左近は腕にあざが出来ているのを不思議に思っていた。
「どこかにぶつけたかな」
「あ、左近、おはよう」
すがすがしい爽やかな笑顔で綾女が声をかける。
「パンが焼けたよ。食べるでしょ」
厚めに切ったパンにバターを塗り、コーヒーとサラダを添える。
「ベーコンエッグも出来たよ」
じゅう、と美味しそうな音を立ててお皿に移す。
「うまい」
綾女は嬉しそうに微笑んだ。
「でしょ?私の愛が詰まっているんだもん」
「愛か。じゃあ今宵は・・」
綾女の顔が青くなった。おろおろしている。そんな綾女がかわいくて左近は見つめていた。
・・恋人ならしてもいいだろう。だけど綾女はまだ高校生だ。う〜ん・・
葛藤する左近。
25日はクリスマス当日だが、この頃はイブのほうが華やかだ。綾女は左近と出かけた。
「今日までだね、クリスマス。明日には一気にお正月仕様になるんだよね。変わり身の早さをいつも思うよ」
「そうだなぁ」
河原町まで出る。
「本能寺、ここ」
繁華街の中にそこだけ異空間があった。
「だけど本能寺の変の時は蛸薬師通りの方にあったんだよね」
左近は遠い目になった。
「ふと昔を思い出してしまうな」
「ごめんなさい、私」
「綾女のせいじゃない。俺が思い出すだけだから」
綾女は左近の腕に自分の腕を絡ませた。
- 現代版
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