左近がかろうじて息をしている。
間もなく、左近も逝く。
綾女にはそれがわかっていた。左近がそれを悟らせまいとするように月に注意を向けた。
綾女は左近を見つめていたかったが、左近の気持ちを汲んで月を見、その間に左近は逝った。
「左近・・・」
涙が溢れる。左近の想いが今自分にも伝わる。
でももう何もかも遅いのだ。
いったんは諦めた気持ち。
でも左近は生きていてくれた。
綾女はゆっくり目を開けた。
綾女の涙をぬぐう左近が、目の前にいた。
「どうした・・」
綾女は指を左近の頬に当てた。その存在を、ぬくもりを確かめるかのようにゆっくりとなぞる。
「左近」
綾女のかすかな声。左近のぬくもりが綾女に重なった。
私は・・左近の想いに応えようとしている・・
初めて触れる、異性への想い。
でもそれは甘やかな、心ときめくものだった。
「左近・・」
吐息が触れ合う距離で、綾女は囁いた。
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二人ともようやく自分の気持ちに気付いたのですね。私も嬉しくて、特に何回も読んでしまいました。彼らを温かく見守る蘭丸にも、癒されます^^ 私の希望を叶えて下さって、誠に有難うございました。
こんばんは。
お待たせしてしまいました。
蘭丸にもう少し花を持たせてあげたかったけれど、これでよかったんだと自分に言い聞かせていました。
蘭丸主体のお話も構想中です。
リクエストありがとうございました。