幾百年の時を越え、想いはやっとひとつに結ばれた。
「綾女」
「左近」
神の御前で永遠の愛を誓い合う。
左近は綾女の唇にそっと唇を重ねた。
いつも同じ夢を見る。
左近はゆっくりと体を起こし、その身体の重さにため息をついた。
この夢を見たあとは、決まって身体がだるくなる。
もう、何度目の転生だろうか。
そろそろ片手におさまらなくなるほど、左近は綾女に会えずに転生を繰り返してきた。すべての記憶が左近にはある。
「また、会えずに終わるのか・・・」
いずれの人生も30年足らずだった。事故や病気など、突発的な災難で命を終えてきた。そして今は25歳。
「死を恐れるわけではないが、あいつに会えてもやはりこの寿命なのか?」
誰に問いかけるでもなく、左近は自嘲じみた笑いを浮かべた。
窓からは明るい月が見えた。
同じ頃、ひとりの少女を同じ月が照らしていた。
そこは病院のベッド。生まれつき持っていた疾病のため入院している。手術を終えたばかりでまだ麻酔から醒めていなかった。
そして少女はひとりの男性のことを思い出していた。
1年後。
綾女は日本庭園の観月会に来ていた。麻酔の中で思い出した男性は月の光の中亡くなっていった。なんとなく、月の下で再会できるような気になっていた。
左近も同じ観月会に来ていた。そして間もなく、ふたりの想いが交錯する瞬間が訪れる…。
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