「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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桜吹雪5

数日振りに桜の木のそばを通る。
すでに満開になっており、はらはらと散り始めていた。
時刻は黄昏時。じきに暗くなる。桜はほのかな明るさを放っていた。
・・綾女。いらっしゃい。
誰かが桜の方から呼ぶ。
「誰?」
返答を待つこともなく、綾女は桜の木の根元に近づいた。そこには綾女とそっくりな美しい女性が立っていた。
「あなたは・・」
・・私は佐保姫。あなたは今、私をとてもきれいな人だと思っているでしょう。それはあなたの心がきれいだからです。
佐保姫はふたつの包みを綾女に渡した。
「これは?」
・・私が霞で織った衣服です。しかるべき時に、あなたとあなたが愛する人で着て下さい。
「なぜ、これを私に?」
佐保姫は微笑んだ。
・・あなたたちの魂が美しいからです。
佐保姫はそのまま消えた。
桜の花びらが綾女にかかる。
左近は綾女を探していた。暗くなっても戻らない。
「もしや」
夢が、左近の脳裏をよぎった。そろそろ桜が一番美しいとき。綾女は桜のところにいるかもしれない。
綾女は、桜の木の根元で倒れていた。
「綾女!」
左近が駆けつける。綾女は地面に耳を当てていた。左近を見る瞳が光っている。
「綾女?何をしている?・・泣いているのか?」
「いや、嬉しいんだ。今お礼を言っていた」
綾女はゆっくり起き上がった。ふたつの包みを抱えている。
「佐保姫にもらった。左近と2人で、しかるべき時に着て下さいと言っていた」
「佐保姫?」
包みの布を見ても、人が織ったものとは思えなかった。綾女は春の神に祝福されたのだろうか。左近は綾女を抱きしめ、2人で桜の木を見つめていた。

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