「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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桜吹雪1

ざぁ・・・っ
桜の花びらが、降り積もる。
桜の木の下で永遠に眠るものに、天の散華として降りかかる。
「嘘だ・・ろ」
閉ざされた瞳はもう開かず、優しい言葉をつむぎだした口元も緩まない。
桜が、精一杯の涙を降り注いでいる。花びらとして。
「目を、開けてくれ」
涙で愛おしい者の顔がぼやけてくる。首に手を当ててもすでに脈はなく、すでにこの世には存在しないことを示していた。
「綾女ー!!」
左近は跳ね起きた。全身、嫌な汗でびっしょりだった。
「夢、か・・?」
「どうした、左近」
隣に寝ていた綾女が心配そうに声をかけてきた。
「だいぶうなされていたぞ。何かよくない夢でも見たのか?」
「ああ、いや・・。嫌な夢を見てな」
「私の夢?名前を呼んだから」
前髪をかきあげて左近は綾女を見た。心配そうな顔をしている綾女にそっと口付けをする。
「大丈夫だ。汗で気持ち悪いから、湯に入ってくる」
立ち上がった左近を綾女も追った。
「ふう・・」
左近と少し離れて、綾女も湯に入っていた。そばで見守るだけのつもりが、左近に無理やり連れ込まれてしまっている。すでに何度か男女の契りを交わしてはいるが、部屋の外で裸体を見せるのはまだ恥ずかしかった。
黒髪を束ね、うなじを見せている綾女。左近はじっと眺めていた。
「何?」
左近の視線に気づいて綾女が振り返る。その角度、体のひねり方。左近の中の男が疼いた。いつもならその気持ちの赴くまま、綾女を抱いてしまうのだが、夢のことがあるため自制できた。
「いや、もう戻ろう。じき、夜が明ける」

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