それからどのようにして家に帰ったか、綾女はほとんど覚えていなかった。
左近の優しい笑顔がずっと頭を占めている。
♪♪♪
携帯が鳴る。
「綾女、今出てこられる?」
「佳代?」
「ここのお店に左近が来るのよ、もうすぐ」
「行く!」
まだ制服だった綾女は服を着替え、佳代に教えてもらったお店に行った。
「綾女、こっちよ」
佳代が手を振っていた。
「ありがとう。どこで情報を?」
「へっへ^^」
佳代はいたずらっぽい表情をした。
「ちょっとしたツテよ」
「えー、どういうことよ」
佳代は綾女に手を合わせた。
「ごめん」
「はっ?」
「卒業式のあと、綾女ったらぼんやりしていたじゃない。だから私がちょっとプッシュしちゃったというか」
「なに?」
「綾女の写真を、左近に渡しちゃったの」
綾女は顔が赤くなった。
「ちょっと、なんで?どんな写真?あー、もう恥ずかしいじゃない」
「だってだって、綾女は左近が好きだし、左近は綾女を見つめていたし、綾女は動けなくなっているし・・・ごめん」
綾女は佳代の肩をポンポンとたたいた。
「もういいよ・・。でも正直嬉しかったよ。恥ずかしいけど」
「ほんと?」
佳代の顔が明るくなった。綾女はふっと息を吐いた。
「で、左近は写真を渡された時、ここのお店に来ることを教えてくれたのね?」
「うん。でもね、あっちから教えてくれたんだよ。写真を渡して、この子綾女っていうんですって言ったら、じゃあ今夜お店に行くからこの子も連れてきてくれないかって」
「ふーん・・・」
綾女はうますぎる話の展開に少し頭をかしげた。
- 現代版
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