夏休みも終わりに近づき、綾女と佳代は他の教科の宿題をしていた。
左近と龍馬は懐かしそうに見ている。
「高校生は忙しいなぁ。2年ともなればもう受験準備だろうし。俺らもそうだったな」
「俺はまだ現役の大学生だ。龍馬は何年前のことを言っているんだ?」
「うるさいな、お前と3歳しか違わないだろう」
そこに森蘭丸がやってきた。
「おう、お前も宿題があるんじゃないか?」
「俺はもう終わった。3年ともなれば高校はあってないようなものだからな。大学もさっき決まった」
「どこだ?」
「お前らのところだ。推薦でな」
「来年1年俺とかぶるのかよ、嫌だなぁ」
「それはこっちのセリフだ。考古学で最高峰のところを探したら、たまたまそこだったと言うだけだ。左近と馴れ合うつもりはない」
「ああもううるさい。廊下でしゃべんないでよっ」
佳代が怒っている。覗き見しながら囁いていたのが、いつの間にか声が大きくなっていた。
「ああ、悪い悪い。佳代、あとでな」
「おっけ〜」
龍馬がドアを閉めた。
「綾女は何をしている?」
「さっき宿題終わった、ばんざーいと喜びながら外に出て行ったぞ」
「またあそこに行ったんだな」
そう、二人が出会った場所。切なく悲しい場所だった。でも新たに愛が生まれた場所でもある。左近が後を追ってきた。
「やっぱりここか」
「うん、今ね、前世の左近と綾女にお礼を言っていたの。あなたたちがいたから、私は左近に出会えたんですって」
「そうか、そうだな」
その時、太刀が埋まっていた場所に一条の光が射した。
光の中に着物姿の左近と綾女が見える。二人とも現世の二人よりずいぶん大人びていた。
『ありがとう。私たちの想いを継いでくれたんですね。これでやっと私は左近に会うことができました』
光の中の綾女と左近は寄り添い、抱き合う。そのまま光とともに消えた。
「よかったね」
綾女は泣いていた。左近は綾女の肩を抱き寄せる。
「私、絶対に忘れない。この夏のことを忘れない」
綾女は左近に笑いかけた。輝くような笑顔だった。
その後保管室から太刀と小太刀が消えた。前世の二人が出会えたため、消えたのだろうと左近は思う。
- 現代版
- 33 view
この記事へのコメントはありません。