「すまなかった」
左近が謝った。綾女は少し驚いたように顔を上げた。
「そんなに怖い思いをしているのに、少しも思いやってあげられなかったな」
「私こそ、早く相談すればよかったね。左近も忙しいだろうと思って、何とか自分でやってみようと思ったの」
綾女は左近から目をそらし、小さい声で言った。
「だから、今晩から少し泊めてもらっていい?」
「いいよ。いくらでもいればいい。何なら一緒に住むか?」
綾女はほっとした顔をした。
「ありがとう。新しいところが決まるまでお世話になります」
あくまでも一緒に住むとは言わない綾女に、左近は苦笑した。
「ひとつ部屋が空いているから、そこに荷物を置くといい」
「うん」
「夜は・・一緒に寝るか?」
綾女は赤くなった。しかし布団もないので、小さくうなづいた。
「あ、あんまり変なことしないでね」
実際一緒に住み始めると、つやめいたことはあまりなかった。寝るベッドは一緒でも、顔を見て生活しているという感があまりない。とうとう綾女は左近の部屋に引越しをしてしまったが、試験勉強で部屋にこもり、アルバイトで家を空けていたのでそれぞれの生活を送っていた。
「よ、綾女。とうとう左近と一緒に住んじゃったのか」
蘭丸が声をかけてきた。
「うん、何だかそっちのほうが安全だし、蘭丸も隣だから心強くて」
「そ、そうか?」
蘭丸は照れた。
「ほら、妖魔が始終出入りしているでしょ。だから防犯になるのよね」
「なんだ、そっちかよ」
前のアパートで出入りしていた怪しい男数人が、綾女に目をつけ、隙あらば襲おうと待ち伏せしたり跡をつけることがしばしばあった。が、マンションの周りには妖魔の気が満ちており、時々姿を現すこともあるため、防犯に役立っていた。
- 現代版
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更新楽しみにしています。エロ系お願いします。
コメントありがとうございます。ご期待に沿うようなものが書けたらいいのですが…。