左近の秘密。
「俺には秘密なんてないぞ」
そういう奴に限って、色々隠したがるものだ。
俺は蘭丸。綾女が知らない左近の秘密を暴露お披露目しよう。
まずは外見から。
あの髪の色、瞳の色は隔世遺伝によるものだ。それもとびきり離れた遺伝だから、育った当時は鬼子と言われていた。いじめられる対象でもあった。下手をすれば怪我を負わされそうになった。だが左近は負けずに知略、腕を磨いた。だから里に伝わる妖刀を受け継ぐことができたんだ。ただ一人の生き残りとなってしまったがな。
15の年に人妻と通じ、それから女性遍歴が始まる。美形で剣の腕もたち、背も高い。そんな左近を女性たちは放っておかない。乞われれば関係を持つこともあったが、その場限りだ。手練手管に優れて女性は蕩けてしまう。だが左近は冷めていた。
綾女に会ったのは奇跡だった。いくら男装していても、経験豊富な左近にはお見通しだ。最初は小うるさい正義感を振りかざした小童というイメージだった。それが桔梗に慕われる綾女を見ているうちに、心の中で何かがざわつき始めた。少しずつ笑顔を見せていく綾女を常に目で追うようになる。
伊賀の里で、瀕死の陣平が綾女の腕に包まれる場面を見て、イラッとする。綾女は左近のことを同志としか見ておらず、恋愛感情は皆無でさっぱりとしたものだ。けれど、左近が伊賀を出ていくときに名前を聞かれ、本名を明かした。心なしか瞳もうるんで、左近は思わずやわらかい頬に触れてしまった。それが左近の恋の始まり。
だから、蓬莱洞であんなことをしたんだ。綾女のファーストキスを奪った。それも軽く、ではない。かなり深かったぞ。綾女はそりゃびっくりするだろう。叩くのは当たり前だ。叩かれなかったら、左近はそれ以上のことをイタしていたはず。
その事件があってから、綾女は左近を意識してしまう。思い出しては唇に触れている。
もう、左近の愛は爆発した。綾女一筋で無駄に怪我を増やしてしまう。絶叫し駆けずり回り、飛んで綾女をかばう。そして、致命傷を負い、綾女に看取られて死ぬ。そうして綾女の心に痛い形で自分を残す。不器用で迷惑な愛情表現だ。
だが、左近の想いはとても強く、奇跡的に現世で綾女と巡り合う。
出会った途端に熱いキスだもんな。幸い綾女にも記憶があったし、左近への想いが残っていたからよかったが、一歩間違えたら警察に突き出されていたはずだ。それでもいきなりのことに綾女は戸惑って、初めは左近から逃げるようにしていたっけな。数日距離を置かれて、左近はやっと落ち着いて改めて綾女に告白した。その日のうちに一緒に住むようになって、綾女は見る見るうちに綺麗になった。左近の想いがやっとつなげられたんだ。
いまだに綾女一筋だが、ようやく左近にも余裕が出てきた。
次回は、二人の出会いをお披露目しようか?
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