今住んでいる部屋だと二人は狭いので、すぐ近くの広い所へ越した。
ベランダへ出れば、綾女がいた部屋と同じように安土山が見える。
新しく買った家具は、ワイドダブルの長めサイズ。
「ちょっと幅が広いんじゃない。どうしてわざわざ新しく買うの?」
「一緒に寝るから。それに、広くないと気兼ねなく動けないだろ?」
「動くって…」
左近が自慢の声で囁く。
「動くこと」
綾女は黙ったまま耳まで赤くする。
夕食後、綾女はベランダから外を眺めていた。
視界の脇に、綾女が住んでいたアパートが見える。まだ誰も住んでいないため明かりはつかない。
安土山が黒くシルエットになって見える。
「さびしいか?」
左近が隣に来た。
「ううん、左近がいるから平気」
夜風が冷たくなってきた。
- 現代版
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